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令和2年度改定における療養病床の経過措置

 平成30年改定において、経過措置まで含めると療養病床の区分は4類型となりました。医療法と診療報酬の人員配置基準のすり合わせが進み、20対1以外は明確な減算となっています。また再編先として介護医療院が制度化されたのは記憶に新しいところです。  では平成30年の改定から約1年半。経過措置対象病院の動きを確認してみましょう。


 平成30年改定前の時点で、療養病棟入院基本料2(25対1で現在は経過措置に該当する基準です)の移行先は、療養病棟入院料1にアップグレードした病棟が24%。介護医療院への移行はわずか2.9%。旧30対1においては入院料1が12.2%、入院料2が9.8%。そして介護医療院への移行は0%となりました。


 これらの数字からいえることは、介護医療院への移行はほぼほぼされていない状況があり、療養病床の中間層は政策意図に比べかなり動きがなかった1年半とも言えます。  特に介護医療院については、市町村の財源を圧迫するので、自治体側がかなり消極的だったことも事実です。しかしながら、ここまで移行がなされていないと、経過措置を次回改定で廃止することは難しいのではないかと考えます。


 上記の数字を受けて、10月18日の中医協でも経過措置の廃止は困難かもしれないとの声は上がっています。ただし経過措置はこのまま継続される訳ではなく、経過措置の基準の厳格化は検討しなければならない論調ではあります。減算の幅が大きくなることも考えられますし、経過措置にも医療区分の下限が定められることも考えられます。いずれにせよ経過措置を算定している病院には、さらに経営が苦しくなる状況とも言えます。


 正直なところ、私が支援している療養病床の経営状況は2極化していますし、経営状況の良い病院でも療養病床そのもののベッド単価が高くないので、建替えなどの大規模投資になった際に、かなり厳しい事業計画を作成することになっています。


 このような状況下で、これから先の療養病床の在り方を考える際には、病院単体での経営・運営だけでは不十分であるように感じます。ある意味では現在の医療・介護のハブとなるような意識が必要なのかもしれません。本来は地域包括ケア病床が担うべきなのでしょうが、60日という在院日数の縛りがありますし、循環器などの疾患群によっては、一律な在院日数の評価ではなかなか苦しい領域もあります。療養というと総合力が求められる領域ではありますが、きちんとした事業マップを作成・更新を続け、療養の中でもどこに注力するかがカギとなります。 


 やはり、きちんとした現状把握・計画策定・周知と実行・そして評価・・・が肝要であると考えます。

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