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 12月の末ごろに具体案が集まり始めた看護必要度の論点が、シミュレーションを経て、着地点の案が議論されました。少々驚きの数字ですが、支払側は「看護必要度Ⅰが35%以上」「看護必要度Ⅱが34%以上」を求めるというものでした。

 

 前回改定では厚労省が②B14・B15含めてA1点B3点の基準が加わった際にシミュレーションをし、下位25%タイルを基準として急性期一般入院基本料1において「看護必要度Ⅰ30%以上」「看護必要度Ⅱ25%」という基準を設定した経緯があります。

 それを踏まえた私見ですが、今回のシミュレーション結果に当てはめると新基準は「看護必要度Ⅰ31%以上」「看護必要度Ⅱ27~30%以上」を基準に落ち着くのではなかろうかと思います。

 看護必要度Ⅱに関しては、先行して届出されていると思われる200病院を抽出してシミュレーションをされているようなので、ベースの値が高いのではないかとも思われます。ですから30%よりも低い値での基準値が看護必要度Ⅱへの移行を進める視点からも適正とされるのではないかと思います。


 いずれにせよ②の基準が削れることによる重傷者割合の低下と、A項目C項目の組み換えによる上昇という相反する要素が同時に新基準として提示される可能性があるため、H30年改定後のデータから、新基準(案)での自院の看護必要度を把握し、部署間で共有しておく必要があります。


 基本的に看護必要度を上げるための取組は①カウント漏れを無くす(精度向上)②病床再編やモデルチェンジなどが正攻法となります。①の取組での上り幅のみを期待することは、今までの政策動向を鑑みると、短期的な止血対応で終わってしまいます。ですから長期的な対応策として②の視点を平行して持ち、検討を進める必要があるでしょう。

 まずはその地域・病院にとって各病棟単位に何が望まれるかを冷静に評価することが、10年20年以上の長期的な病院運営において何より重要です。この論点がぶれなければ、綿密な制度対応をすることによって病院経営は継続的な黒字が維持できるように設計されています。看護必要度は評価方法の1部分ではありますが、患者構成を知る重要な指標となります。今回の議論で一つの基準が提案されましたので、1月中に自院でのシミュレーションをしてみてはどうでしょうか。









 

 11月15日に中医協で開かれた会合にて、看護必要度について幾つか踏み込んだ話し合いがされました。内容は大きく分けて2項目あります。


1点目 看護必要度の段階的導入について

 そもそもではありますが、DPCは急性期医療を評価するための仕組みでもあります。今回の中医協総会では、支払側から「看護必要度Ⅱ」を普及させるために、急性期一般入院基本料を算定する病院に、段階的に義務付けをする提案をした。療養病床に対するデータ提出加算のように、200床以上から全体に拡大を目指すべきとの内容でした。


 看護必要度のA項目とC項目に関してはEFファイルからそのまま取り出せることとなるので、現場の測定者の負担が軽減できることと(B項目の測定は誰かが行う必要があるが、タスクシフティングが可能)、測定の透明性が確保されるとし、厚労省は2020年度の改定で「看護必要度のⅡ」の導入義務化を進めると提案しました。


 入院医療等の調査・評価分化会の調査では、基本的には病床規模が大きい病院程看護必要度Ⅱの導入割合が高く、200床では26.9%、300床では30.8%程度であり、200床を一つ切り分けすべきとの意見がありました。これは単純に%の話だけではなく、200床を区切りとしての期待される役割の違いもあるのではないかと考えます。200床を少し超えたスケールの病院は、どんな医療を今後長い間提供するのか冷静に考える必要があるでしょう。


2点目 看護必要度のAC項目の再検討

 この日の報告で挙げられた事項ですが、A項目のうち抗悪性腫瘍薬や免疫抑制剤の内服については入院で行う症例の%が低いことが明らかになりました。またC項目に含まれている手術の中には、件数が多く入院も9割以上するものが評価対象になっていなかったり、また逆の手術もありました。検査の中には入院と紐付きが強いもの(経皮的針生検法、EUS-FNA)もあります。AC項目を適切に入れ替えた上で、シミュレーションされると場合によっては看護必要度のハードルが変わる可能性も十分に考えられます。


 重要なのは、看護必要度を上げるために何か対策を練るというのではなく、自院の現状を把握することが重要です。項目の入れ替え後には、早めに新基準での看護必要度を把握し4月以降の体制を検討し続ける事をお勧めします。 









 

 以前こちらで書いた通りではありますが、やはり看護必要度関連の基準厳格化提案が支払側の委員からより具体的に出てきました。

 

 もともとは第一ラウンドで、急性期一般入院基本料1からの転換について、様々な角度からの情報が集められていました。例えば、どのくらいの病棟が転換したのか、しなかったのはどのような理由からか?などです。


 実際に平成30年度報酬改定後に転換した病棟は、令和元年6月1日時点で6.5%と少数であり、理由は看護必要度の基準が認知症対応が評価された理由で緩い方向へむかった事などがわかっています。


 支払側は、上記を根拠として一般急性期入院基本料1の看護必要度Ⅰの妥当性を検討した上で見直すべきといい、またB項目は急性期患者を評価する上で適切かどうかを精査すべきとも発言していました。

  

 前回改定ではB項目の基準が変わったことで、一般入院基本料全体の基準が上がりました。ただ今回の支払側の意見は7:1に関わるところのみの話でした。しかしながら、本来の医療法上の一般病床は急性期を支える区分です。その評価とB区分の組み合わせについては試行錯誤の繰り返しではあると思いますが、個人的には急性期の評価とはなじまないのではないかと考えます。ただ何らかの労力がかかることを表している数値ではあるので、病床区分ごとの加算的な立ち位置がより望ましいのかもしれません。



 これから先の自院のあるべき姿を考える際には、単純に看護必要度が超えてるから大丈夫ですというだけではなく、自院が本当に急性期の患者を受け入れているか、様々指標を基に冷静に見つめなおす必要があります。例えばベッド単価や、患者さんの平均年齢や要介護度(認定率)及び2次医療圏や自治体の人口動態や受療率など様々な視点が必要です。


 そうして見つめなおした結果はいかがでしょうか?またこのような振り返りは継続して続ける必要があります。その結果自院がどのようにあるべきか、10年20年さらには50年必要とされ続けるために、どのように変わり続けるかを考え続ける習慣を持つと良いでしょう。

 



 


 


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