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 「包括期の入院医療を担う医療機関の役割として、救急搬送の受入と在宅・施設等の後方支援という観点が示されており、これらを評価する指標を検討するとともに、各医療機関の役割を踏まえながら、適切な基準について検討を進める。」

 令和7年9月11日に開催された入院外来医療等の調査・評価分科会において今後の検討の方向性として上記の内容が挙げられております。




 現状、地域包括医療病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料における「救急搬送の受入」と「在宅・施設等の後方支援」に関連する既存の施設基準は、地域包括医療病棟入院料では「救急搬送件数15%以上」、地域包括ケア病棟入院料では「自宅等からの入院が2割以上」、「自宅等からの緊急入院が9件以上」があります。(ここでいう自宅等とは、自宅、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、認知症対応型グループホーム、有料老人ホーム等を指します。)

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 今回の取りまとめにおいて挙げられた「救急受入れや後方支援に関する現状の評価」としての加算項目は、「在宅患者緊急入院診療加算」、「在宅患者支援病床初期加算」、「協力対象施設入所者入院加算」、「介護保険施設等連携往診加算」となっており、このうち「協力対象施設入所者入院加算」「介護保険施設等連携往診加算」については令和6年診療報酬改定で新設された項目となっております。


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 後方支援に係る加算である、「在宅患者緊急入院診療加算」と「協力対象施設入所者入院加算」の算定状況は、いずれの入院料においても算定件数が0件の施設が最も多い結果となり、算定している医療機関の中では約3割が算定件数が多く、残りの7割は数件の算定といった2極化した結果となりました。


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 また、新設された介護保険施設等連携往診加算についての報告では、届出施設数自体が少ないかつ、届け出届出をしていても算定実績の無い医療機関が多くあることに注目されており、次の改定では届出や算定回数を増やすなんらかの改定がなされることも考えられます。

 介護保険施設等連携往診加算は当該保険医療機関と「特別な関係」の施設においては算定ができない要件となっているため、現在保険医療機関が連携している多くの介護施設は、自法人等の「特別な関係」にあたる場合が多いと考えられます。


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 更に、包括期の病院機能を表現できる指標の候補として「救急搬送受入件数」「下り搬送等受入件数」「当該病棟への緊急入院」「後方支援に係る加算の算定件数」「自宅等からの入院件数」「協力対象施設である介護施設への往診」が挙げられており、具体的な指標やデータ取得の実現性まで議論されています。次期改定ではこれらの項目について、新たな基準が設けられる等の対応がなされる可能性があります。


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 前回の診療報酬改定において医療機関と介護施設の連携がより一層求められるようになり、関係する加算の増点や、新たな加算の新設、入院料への要件化等が進められています。

新たな地域医療構想においても各病棟機能の役割の明確化が進められており、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟では救急受入や後方支援の役割が求められています。

 令和8年度診療報酬改定においても医療介護連携を始めとし、救急受入や後方支援に係るなんらかの改定が行われると予想されますので、今後の議論に注目していきましょう。

  • 7月17日
  • 読了時間: 3分


 病院の約半数は赤字経営という苦しい状況の中で、医療法人を解散しなければならない状況に直面する可能性もあるかと思います。もしその様な状況に陥った場合に手続きの全体像を把握するためにも、『解散にはどのような手続きが必要となるのか』、『破産と清算の違い』など基本的な知識について記載していきたいと思います。




医療法人の解散・清算・破産とは


 医療法人の解散とはその法人格の消滅を生じさせる原因となる事由のことをいいます。

また清算とは債務を弁済し、残余財産がない状態にすることを言い、破産債務を弁済できない場合に財産法に基づいた破産手続きを行います。


医療法人の解散事由としては以下の場合があります。


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解散の手続き


医療法人が解散する場合、解散の事由ごとに手続きが異なります。


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 解散の事由によりその後の手続きに違いがありますが、債務超過を起こしていない場合は基本的には解散の認可申請を経て清算を行い清算結了をもって医療法人が解散する流れとなります。清算を行うためには清算人をたてる必要があり、原則当該法人の理事長が清算人となります。

 反対に、債務超過が発生している場合は破産手続きとなります。破産の場合は「破産法」により手続きを行うため、清算人をたてる必要はなく破産管財人が清算を行います。




医療機関が破産をする場合に気を付けること


①     入院患者の退院調整

②     レセプト債権の担保設定状況の把握

③     診療記録の管理


 一般的な会社の場合は破産申立書を提出した段階で、従業員の解雇等を行いますが、病院では入院患者がいる場合があります。その際はまずは退院調整や近隣医療機関との調整を進め、患者さんの受け入れ先を確保することが必要です。また必要最低限の医療従事者、病院の保守管理者、診療報酬の計算を行う事務職員等を確保し患者さんがいなくなるまでしっかりと対応する必要があります。

 破産に至るということは多額の債務を負っていることが多いかと思いますが、その際にファクタリング等によりレセプトが担保となっている場合が少なからずあります。レセプトを担保としている場合は、契約によっては破産の手続きを開始した時点で以降の診療報酬収入がストップし資金繰りに大きく影響しますので、担保設定状況の把握をしておくことは必須です。

 については医師法で診療録の5年保管が義務付けられており、また血液製剤記録がある場合は20年の保管が義務付けられています。診療録の開示が求められた場合どのように対応するのかを予め検討しておくことが必要でしょう。



今できること・・


 2024年の倒産件数は過去最多の64件と言われています。診療報酬改定では様々な議論がされておりますが、人口減少が進む中病院経営は更に厳しい状況になることが予想されます。破産という状況にならないためにもスピード感をもって地域に求められる機能を実施することが必要です。

 そのためには周辺医療機関の機能の把握、診療報酬で求められている機能、自院の状況の把握を行い、目指すべき形を明示し、スタッフとともに同じ方向を目指すことが必要でしょう。



 物価高騰、人件費の上昇で先の病院経営に不安を感じる中、令和8年度診療報酬改定に向けた調査が始まっています。


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 全体のスケジュールとしては図にありますように、令和7年4月のキックオフ以降、各部会から業界意見聴取や調査、議論が実施され、診療報酬調査専門組織からは提案書の募集・評価、議論が行われます。また令和7年度は2年に1回行われる「医療経営実態調査」の実施の年となり、この調査では医療機関の財務状況を調査が行われます。

 こうした各調査・議論の結果は12月頃までに公表を予定されており、その後は年末の令和8年度予算編成を経て、来年2月頃に答申を行うとされております。




地域包括医療病棟入院料



 今回の記事では「入院・外来医療等における実態調査」の地域包括医療病棟についてみていきます。


 令和6年度の診療報酬改定で地域包括医療病棟入院料は、10対1の看護配置に加えて、高齢者救急を受け入れる体制を整え、リハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に担う病棟として新設されました


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 しかしその一方、重症度や多職種配置、その他様々なアウトカム要件のすべてを満たすことのハードルが高く、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会が2024年5月に実施した「地域包括医療病棟入院料への移行調査〈集計速報値〉n=1,002」では、「転換予定」3.9%、「検討中」14.1%、「転換しない」82.0%となりました。令和7年3月1日時点で地域包括医療病棟入院料を算定している医療機関は154件と、まだまだ移行が進んでいないのも現状です。



施設基準を満たすことが困難な項目


 今回の資料では「地域包括医療病棟入院料の届出にあたり基準を満たすことが困難な項目」について、A票対象施設にあたる「一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料、地域包括医療病棟入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料等の届出を行っている医療機関」と、B票対象施設にあたる「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、緩和ケア病棟入院料等の届出を行っている医療機関」に分けて調査が行われました。


 A票の調査では、「常勤のPT/OT/STの配置」「当該保険医療機関の一般病棟から転棟したものの割合が5%未満」「休日を含めて、リハビリテーションを提供できる体制」と回答

た医療機関が多い結果となりました。


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 しかしこれらは人員配置と院内のベッドコントロールで対応することができますが、本当に基準維持が難しいのは「当該病棟を退院又は転棟した患者(死亡退院及び終末期のがん患者を除く。)のうち、退院又 は転棟時におけるADL(基本的日常生活活動度(Barthel Index)の合計点数をいう。)が入院時と比較して低下した患者の割合が5%未満であること」の項目でしょう。高齢の患者は入院中にADLが低下する場合が多いことや、手術予定患者は術後ADLが低下する場合が多いと言われているため、入院前から患者の状態を把握し緻密なベッドコントロールを行うことが重要となります。また、上流病院からのADL改善前の早期の受入れや、多職種による入院早期の栄養管理や運動療法を行い院内連携を図ることも必要な取組みでしょう。



 またB票の調査では「重症度、医療・看護必要度の基準①を満たすこと」「在宅復帰率8割以上」「転棟患者5%未満」「休日を含めて、リハビリテーションを提供できる体制」と回答した医療機関が多い結果となりました。


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 地域包括医療病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料はどちらもこれから増大する高齢者の医療を担う機能ですが、施設基準を比較すると在院日数に大きな差があり、地域包括医療病棟入院料は平均在院日数21日に対して、地域包括ケア病棟入院料は60日上限となっています。このことから地域包括医療病棟では早期の退院が可能で、かつADLが下がらず在宅復帰ができる、尿路感染症や肺炎等の軽症の高齢者の受皿としての機能が求められていることがわかります。反対に地域包括ケア病棟では入院が長期化しやすい後期高齢者や社会的入院の受皿としての機能が求められていると言えるでしょう。

 病院経営を行っていくためには今後の診療報酬の動向を読み取り、自院の方向性を定めることが重要であり、そのためには自院の患者構成と現在算定している入院料、診療報酬の動向を照らし合わせて見直し、求められている機能へ対応していくことが必要です。


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