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病院の約半数は赤字経営という苦しい状況の中で、医療法人を解散しなければならない状況に直面する可能性もあるかと思います。もしその様な状況に陥った場合に手続きの全体像を把握するためにも、『解散にはどのような手続きが必要となるのか』、『破産と清算の違い』など基本的な知識について記載していきたいと思います。
医療法人の解散・清算・破産とは
医療法人の解散とはその法人格の消滅を生じさせる原因となる事由のことをいいます。
また清算とは債務を弁済し、残余財産がない状態にすることを言い、破産は債務を弁済できない場合に財産法に基づいた破産手続きを行います。
医療法人の解散事由としては以下の場合があります。

解散の手続き
医療法人が解散する場合、解散の事由ごとに手続きが異なります。

解散の事由によりその後の手続きに違いがありますが、債務超過を起こしていない場合は基本的には解散の認可申請を経て清算を行い清算結了をもって医療法人が解散する流れとなります。清算を行うためには清算人をたてる必要があり、原則当該法人の理事長が清算人となります。
反対に、債務超過が発生している場合は破産手続きとなります。破産の場合は「破産法」により手続きを行うため、清算人をたてる必要はなく破産管財人が清算を行います。
医療機関が破産をする場合に気を付けること
① 入院患者の退院調整
② レセプト債権の担保設定状況の把握
③ 診療記録の管理
一般的な会社の場合は破産申立書を提出した段階で、従業員の解雇等を行いますが、病院では入院患者がいる場合があります。①その際はまずは退院調整や近隣医療機関との調整を進め、患者さんの受け入れ先を確保することが必要です。また必要最低限の医療従事者、病院の保守管理者、診療報酬の計算を行う事務職員等を確保し患者さんがいなくなるまでしっかりと対応する必要があります。
②破産に至るということは多額の債務を負っていることが多いかと思いますが、その際にファクタリング等によりレセプトが担保となっている場合が少なからずあります。レセプトを担保としている場合は、契約によっては破産の手続きを開始した時点で以降の診療報酬収入がストップし資金繰りに大きく影響しますので、担保設定状況の把握をしておくことは必須です。
③については医師法で診療録の5年保管が義務付けられており、また血液製剤記録がある場合は20年の保管が義務付けられています。診療録の開示が求められた場合どのように対応するのかを予め検討しておくことが必要でしょう。
今できること・・
2024年の倒産件数は過去最多の64件と言われています。診療報酬改定では様々な議論がされておりますが、人口減少が進む中病院経営は更に厳しい状況になることが予想されます。破産という状況にならないためにもスピード感をもって地域に求められる機能を実施することが必要です。
そのためには周辺医療機関の機能の把握、診療報酬で求められている機能、自院の状況の把握を行い、目指すべき形を明示し、スタッフとともに同じ方向を目指すことが必要でしょう。