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新着情報


 厚生労働省のデータによると、2018年と2023年の100床あたりの事業収益を比較すると約1億5,700万円の増加が見られました。しかし同期間における物価や水道光熱費の高騰、人件費の上昇などにより、事業費用はそれを上回る約2億1,900万円増加しています。その結果、事業利益は約マイナス6,200万円となり収益構造の厳しさが浮き彫りとなっています。




 また2020年以降、消費者物価指数は上昇傾向にあり、2024年には106.3%となっています。​一方、診療報酬本体指数2024年で101.31%にとどまっており、物価上昇に対して診療報酬の増加が追いついていない状況が見て取れます。




 こうした病院経営の厳しい状況を受け、診療報酬の引き上げを求める声が各方面から上がっていますが、2026年度の改定でどのような対応がなされるのか、先行きは依然として不透明です。




 日本商工会議所が2024年5月に行った中小企業における賃上げ状況の実態調査では、業種別の『賞与・一時金』の増減について前年と比較をした場合、「医療・介護・看護職」では「昨年度を上回る水準で支給」と回答した割合が3割となり、ベースアップ評価料や処遇改善加算の影響がでていることが分かります。



 その一方賃上げ額では「医療・介護・看護職」は加重平均で5,477円、賃上げ率2.19%と他業種と比較し最も低い賃上げ率となっています。



 約5割の病院で赤字経営となっている状況からしても、今の診療報酬の構造では他業種のような昇給を行うことは厳しいといえるでしょう。





 2024年度の診療報酬改定で新設された「ベースアップ評価料」は、2025年3月時点での病院の届出率は86.0%と高まってはいるものの、有床診療所では39.6%、無床診療所では30.1%となっており、病院と診療所で大きく差が開いています。



 他業種では価格を自由に調整することができますが、病院では診療報酬の中で経営を行うしかない状況で、今の世の中の昇給ペースに病院が足並みを揃えることは不可能と言えるでしょう。人件費の急騰や紹介手数料の負担軽減のためにも、ベースアップ評価料の届出を行い、それを人件費に充てることは今後の経営において今打てる最低限の取組みと言えます。



今回のまとめ

①     自院の病床機能にあった適切な稼働率維持する。

②     維持するための取り組みを継続する。(営業活動と活動のモニタリング)

③     自院の機能・規模に合った適正人員を把握する。

④     ベースアップ評価料を活用し人件費に充てる。


このような厳しい経営状況の中で今病院ができることは、まずは①~④をしっかりと行うことでしょう。




併せて今後の診療報酬改定の動向に注目が必要です。

 2024年3月、厚生労働省は「療担規則・薬担規則及び療担基準に基づく掲示事項等」の改正を行い、令和7年6月1日から施設基準や療養担当規則等による院内掲示事項のウェブサイトへの掲載が義務化されました。

(「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定め る掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医 薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について 令和6年3月27日より)


 改正の目的は患者に対して提供する医療サービスの内容や費用に関する情報を、より分かりやすく・開かれた形で提示することです。これにより患者の理解と信頼を得やすくし、医療の透明性と質の向上を図る狙いがあります。




掲示が必要な5つの項目


(1) 入院基本料に関する事項

  入院基本料に係る届出内容の概要(看護要員の対患者割合、看護要員の構成)を

  日勤帯、夜勤帯別に掲載。


(2)DPC/PDPS算定病院

  DPC/PDPS算定病院である旨を掲載。


(3)地方厚生局長への届出事項に関する事項

  基本診療料・特掲診療料の施設基準、入院時食事療養Ⅰ、生活療養Ⅰについて、

  届け出た事項と施設基準内で院内掲示が求められる事項に関して掲載。


(4) 明細書の発行状況

  医療費の内訳を明記した明細書交付の有無や対応方法の掲載。


(5) 保険外負担の項目と料金

  紙おむつ代、理髪代など、実費負担を求める項目は明確に掲載。



 これらの項目は厚生労働省の適時調査の「重点的に調査を行う施設基準」に掲載されているほか、事前提出書類としてホームページをプリントアウトしたものの提出を行う必要があります。

 掲載漏れのないよう今一度自院の院内掲示・ホームページをご確認ください。

  • 3月18日
  • 読了時間: 2分

更新日:4月4日

 介護事業所で原則禁止されている身体拘束の適正化を図る身体拘束廃止未実施減算は、2024年度の介護報酬改定で施設系・居住系サービスから短期入所系・多機能系サービスに適用範囲が拡大されました。


こうしたなか令和7年1月20日厚生労働省通知にて以下のQ&Aが出されました。


 身体拘束を実施していない施設でも「身体拘束等の適正化を図るための措置」を行う必要があり、措置がなされていない場合は施設系・居住系サービスでは10%の減算、短期入所系・多機能系サービスでは1%の減算となります。

短期入所系・多機能系サービスでは2025年3月まで経過措置が設けられていますが、経過措置期限が迫ってきているため、今一度自施設の対応を確認しておきましょう。



身体拘束廃止未実施減算の要件


 身体拘束廃止未実施減算には以下の要件があり、全て対応する必要があります。


 また上記図の①「緊急やむを得ない理由」とは、「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つの要件を満たす場合となります。

「切迫性」・・・・利用者やほかの利用者の生命や身体に危険が及ぶ可能性が高い場合

「非代替性」・・・身体拘束以外に代替する介護方法がない場合

「一時性」・・・・身体拘束は一時的なものである場合


 この「緊急やむを得ない理由」について令和7年1月20日厚生労働省通知Q&Aにて、身体拘束を実施する場合は「切迫性」「非代替性」「一時性」について検討し、3つの要件全てを満たすことが記録として確認できない場合も減算の適用となると示されました。



 身体拘束廃止未実施減算はQOLの低下、身体機能の低下により寝たきりに繋がることを防ぐ目的があり、また令和6年度診療報酬改定では入院基本料の施設基準として「身体拘束最小化の基準」が要件化されました。

こうした身体拘束の基準を定め厳格化していく方針の背景には、今後医療・介護の複合ニーズをもった85歳以上の高齢者の増加への対応が考えられ、医療機関や介護施設では体制を整えていくことが必要です。


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