- 9月19日
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「包括期の入院医療を担う医療機関の役割として、救急搬送の受入と在宅・施設等の後方支援という観点が示されており、これらを評価する指標を検討するとともに、各医療機関の役割を踏まえながら、適切な基準について検討を進める。」
令和7年9月11日に開催された入院外来医療等の調査・評価分科会において今後の検討の方向性として上記の内容が挙げられております。
現状、地域包括医療病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料における「救急搬送の受入」と「在宅・施設等の後方支援」に関連する既存の施設基準は、地域包括医療病棟入院料では「救急搬送件数15%以上」、地域包括ケア病棟入院料では「自宅等からの入院が2割以上」、「自宅等からの緊急入院が9件以上」があります。(ここでいう自宅等とは、自宅、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、認知症対応型グループホーム、有料老人ホーム等を指します。)

今回の取りまとめにおいて挙げられた「救急受入れや後方支援に関する現状の評価」としての加算項目は、「在宅患者緊急入院診療加算」、「在宅患者支援病床初期加算」、「協力対象施設入所者入院加算」、「介護保険施設等連携往診加算」となっており、このうち「協力対象施設入所者入院加算」と「介護保険施設等連携往診加算」については令和6年診療報酬改定で新設された項目となっております。

後方支援に係る加算である、「在宅患者緊急入院診療加算」と「協力対象施設入所者入院加算」の算定状況は、いずれの入院料においても算定件数が0件の施設が最も多い結果となり、算定している医療機関の中では約3割が算定件数が多く、残りの7割は数件の算定といった2極化した結果となりました。

また、新設された介護保険施設等連携往診加算についての報告では、届出施設数自体が少ないかつ、届け出届出をしていても算定実績の無い医療機関が多くあることに注目されており、次の改定では届出や算定回数を増やすなんらかの改定がなされることも考えられます。
介護保険施設等連携往診加算は当該保険医療機関と「特別な関係」の施設においては算定ができない要件となっているため、現在保険医療機関が連携している多くの介護施設は、自法人等の「特別な関係」にあたる場合が多いと考えられます。

更に、包括期の病院機能を表現できる指標の候補として「救急搬送受入件数」「下り搬送等受入件数」「当該病棟への緊急入院」「後方支援に係る加算の算定件数」「自宅等からの入院件数」「協力対象施設である介護施設への往診」が挙げられており、具体的な指標やデータ取得の実現性まで議論されています。次期改定ではこれらの項目について、新たな基準が設けられる等の対応がなされる可能性があります。

前回の診療報酬改定において医療機関と介護施設の連携がより一層求められるようになり、関係する加算の増点や、新たな加算の新設、入院料への要件化等が進められています。
新たな地域医療構想においても各病棟機能の役割の明確化が進められており、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟では救急受入や後方支援の役割が求められています。
令和8年度診療報酬改定においても医療介護連携を始めとし、救急受入や後方支援に係るなんらかの改定が行われると予想されますので、今後の議論に注目していきましょう。