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2022年度の急性期一般入院料において重症度、医療・看護必要度の項目の見直しが終盤に差し掛かってきました。改定項目については下記となります


A項目
 〇点滴ライン同時3本以上の管理を点滴薬剤3種に 変更
 〇輸血や血液製剤の管理の点数を1点から2店に 変更
 〇心電図モニター管理の項目 削除

B項目
 〇衣服の着脱の項目を 削除

C項目
 〇骨の手術を11日間から10日間に 変更


上記の項目について12日の中医協でシミュレーション結果が公開されました。


急性期一般入院料1を算定する医療機関(全体)において、心電図モニターの管理の削除が大きく影響しており(見直し案3、見直し案4)、必要度Ⅰにて届け出を行っている医療機関においては20%から30%のが基準を満たすことができなくなるという結果となりました。

一方で必要度Ⅱで届け出を行っている医療機関においては10%弱が対象外となっています。


支払側の委員についてはデータに基づく徹底した厳しい改定の意見が強い一方、診療側委員においてはオミクロン株の急速な拡大により医療機関の体制が逼迫する中で報酬改定により運営状況を悪化させるべきではないと意見が出でいます。


心電図モニターの管理について

医療機関からのデータ提出が施設基準の要件となり、詳細なデータが把握できるようになりました。一部の医療機関においては心電図モニターの管理が退院日前日や退院日まで行われているという状況も把握することができます。こうしたデータをみると、ただ心電図モニターを装着して必要度を満たすマネジメントを行っていた医療機関においては、報酬改定によりふるいにかけられても仕方がないのではないでしょうか?




#NAOマネジメント株式会社

#診療報酬改定

#重症度医療・看護必要度

#心電図モニターの管理






令和2年度改定においては1号側の意見が強く影響している

支払側は医療機関からのデータ提出に基づいた意見となっており、限られた財源の中でアウトカムを評価する意見となっています。

診療側については新型コロナウイルス感染症に対応できるような体制整備や、働き方改革の体制整備を推進するために、医療者として地域医療を守る使命感と倫理観を評価する意見となっています。


前回改定(令和2年度)においては1号側の意見の多くが盛り込まれており、今回提出された1号側の意見で大まかな令和4年度の診療報酬改定の予想が出来ると思います。


では入院医療について支払側の意見を確認していきましょう。


① 高度急性期

  1. 特定集中治療室用/ハイケアユニット用「重症度、医療・看護必要度」の評価項目において、患者の状態と医療資源の投入量を適切に反映するために、A項目については「心電図モニターの管理/装着」を廃止し、B項目については高い相関関係にある「口腔清潔」「衣服の着脱」「食事摂取」を整理するべき。

  2. 特定集中治療室管理料における「重症度、医療・看護必要度」の判定基準において、B項目を除外するべき。

  3. 救命救急入院料のうち、特定集中治療室用「重症度、医療・看護必要度」の測定を求めている入院料1と入院料3について、人員配置や医療の実態が近いハイケアユ ニット用「重症度、医療・看護必要度」の測定に切り替えたうえで、該当患者割合を施設基準に定めるべき。

  4. 特定集中治療室管理料において提出が要件化されている「生理学的スコア」について、患者の状態を適切かつ客観的に評価するための指標として、引き続き調査・分 析するべき。


※前回改定でも重症度、医療・看護必要度については支払側の意見が採用さ
 れており、集中治療室等の評価の見直しは必至でしょう。B項目削除につい
 てもA項目4点に該当する患者についてはほとんどすべてB項目3点に該当
 しており項目削除による影響は少ないです。

② 急性期

  1. 一般病棟用「重症度、医療・看護必要度」の測定方法について、医療従事者の負担軽減も踏まえ、計画的にⅠを廃止してⅡに統一するべき。

  2. 一般病棟用「重症度、医療・看護必要度」の評価項目において、A項目については「心電図モニターの管理」を廃止し、「点滴ライン同時3本以上の管理」の測定方法ⅠとⅡの不整合を是正し、B項目については相関関係の強い「口腔清潔」「衣服の着脱」「食事摂取」を整理し、C項目については「骨の手術」の術後期間を精緻化するべき。

  3. 急性期一般入院基本料について、病床機能の分化・強化をさらに進める観点から、入院料1の「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合の基準値を引き上げるとともに、7区分ある入院料を簡素化し、各入院料間における該当患者割合の刻み幅を大きくすることにより、患者の状態に応じた評価のメリハリを強め、病床機能の分化を促進するべき。

  4. 急性期一般入院料1を算定する医療機関について、特に急性期医療に相応しい役割を 適切に評価する観点から、特定集中治療室等による濃密な医療や手術、放射線治療、化学療法等を指標として、評価にメリハリを付け、医療資源の重点化を通じて病床機能を強化するべき。



※心電図モニター管理の廃止は影響を受ける医療機関がありそうです。
※整形外科を中心に急性期一般入院料を担っている医療機関についてはC項目
 「骨の手術」の該当機関見直しにより影響を受けます。
※上記の評価の見直しを前提とした場合、基本的に急性期一般入院料1を算定
 できる医療機関が限られてくると思います。その結果、特定集中治療室等
 を配置して急性期治療を行うことが可能な医療機関しか上位基準を満たす
 ことが出来なくなるでしょう。

③ 回復期

  1. 地域包括ケア病棟・病室について▽ポストアキュート▽サブアキュート▽在宅復帰支援―という3つの役割を前提として、包括点数の「地域包括ケア病棟入院医療・入院医療管理料」が設定されていことを踏まえ、ポストアキュート機能しか担えていない場合に評価を適正化するとともに、サブアキュートや在宅復帰支援の機能を強化する方向で施設基準等を見直すべき。

  2. ポストアキュート機能に偏った病棟で医療資源の投入量が相対的に少ない実態を踏まえ、一般病棟から転棟した患者割合が一定以上の場合の減算を、許可病床400床未満の医療機関に拡大するべき。

  3. サブアキュート機能を適切に評価する観点から、自宅等からの緊急患者の受入れ実績に加えて、救急医療の実施を評価の指標として加えるべき。

  4. 質の高い在宅復帰支援を推進する観点から、入退院支援・地域連携業務を担う部門の設置に加えて、入退院支援加算の届出を評価の指標として加えるべき。


  1. 回復期リハビリテーション病棟入院料について、医療の質とアウトカムが向上するよ うに、入院料区分の取扱いと実績部分の評価を見直すべき。

  2. 回復期リハビリテーション病棟の入門編として位置付けられている入院料5、6について、医療の質を高める観点から、最初の届出から一定期間に限り算定可能とし、期限までに入院料1~4へ移行するように促すべき。

  3. 入院料1、3、5について、リハビリテーション実績指数が上昇していることを踏まえ、基準値を引き上げるべき。

  4. 入院料2~6について、管理栄養士が配置されている場合、リハビリテーション計画書の栄養項目記載を必須とするべき。

  5. 入棟時時 FIM と退棟時 FIM の状況を継続的に把握し、引き続き FIM得点の妥当性を検証するべき。


※地域包括ケア病棟についてはポストアキュート・サブアキュート・在宅復
 帰の3つの役割を果たすことで評価が高まるのではないでしょうか?急性 
 期病棟と地域包括ケア病棟もつケアミックスの医療機関においては、地域
 包括ケア病棟での救急医療の実施を評価する可能性が高いため、病床再編  
 の検討の必要があると考えます。

※回復期リハビリテーション病棟入院料についてはさらに実績指数の基準が
 引き上げることになりそうです。

④ 慢性期

  1. 療養病棟入院基本料の経過措置(注 11)について、短い入院期間でリハビリテーショ ンを多く実施するという、療養病棟としての役割と異なる実態を踏まえ、令和4年3 月末で廃止するべきである。ただし、仮に延長する場合には、少なくとも回復期リハビリテーション病棟と同様に、6単位を超えるリハビリテーションを入院基本料に包括するとともに、減算幅を拡大し、早期の機能転換や介護医療院への移行を促すべき。

  2. 患者の QOLを向上させる観点から、中心静脈栄養を実施している患者について、嚥下機能評価を徹底し、中心静脈栄養を中止できる可能性のある場合には、早期に嚥下リハビリテーション等を実施するよう、施設基準等に定める。そのうえで、医療区分3の「中心静脈栄養を実施している状態」の取扱いを適正化し、一定期間経過後、医療区分2へ移行するべき。


※経過措置の療養病棟入院基本料については廃止とはならないものの、入院
 料は大幅な減算となり介護医療院への移行が推し進められそうです。
※中心静脈栄養を実施している状態の患者の区分3から区分2への移行につい
 ては、仮にこのまま改定が進められた場合、施設基準の維持をIVH挿入患者 
 に偏重していた医療機関にとっては影響が大きいです。入院受入患者の見
 直しや、摂食嚥下評価・リハビリ対応の強化が必要です。



#NAOマネジメント株式会社

#診療報酬改定


リフィル処方制度の運用開始がほぼ決定的となりました。患者さん自身や家族、医療機関において様々な影響が予想されます。メリットデメリットの考えを理解しながら、あるべき姿を考えましょう。



リフィル処方がもたらすメリット

症状が安定している患者について、医師及び薬剤師の適切な連携により、医療機関に行かずとも、一定期間内に処方箋を反復利用できるようになります。

患者や患者家族の来院にかかる負担の軽減や残薬問題の解消につながります。また医師の働き方改革を推し進めるうえでも、患者の受診回数を減らし診察の効率化を図ることが出来ます。


デメリットを議論しても…

日本医師会は一貫してリフィル処方の導入には反対の姿勢を示しています。「長期処方は残薬リスクや、多剤投与に気づきにくくなる。病状の変化を見逃すなど、患者の治療と保険財政への弊害が懸念される」と述べています。


当然、従来型の診療情報の取り扱いのイメージでは上記問題は解決されません。しかしながら、政府が推し進めるマイナンバーカードの普及と診療情報との連携により、多くの問題が解決されます。





処方箋の電子化は令和5年1月予定

すでにマイナンバーカードでの保険証確認が可能となり、医療機関において運用が開始されています。今後の機能拡大予定として電子処方箋の仕組みの構築が進んでいます。これにより紙での受け渡しが不要となり、薬剤情報共有のリアルタイム化(重複投与の回避)が可能となります。

医師会が訴えている残薬リスクや多剤投与についての懸念は国が設置する電子処方箋の専用サーバで管理されることにより重複・過剰投与がある場合警告を表示するシステムで回避することで解決されます。




患者の受診動向の変化は


前田あゆみ、菅野敦之、明治薬科大学臨床薬剤部門「リフィル処方制度導入がもたらす経済性の効果予測」の報告では
リフィル処方により月に1回の通院が3か月に1回の通院になる可能性が高い患者をリフィル処方対象患者とし効果予測を行った結果が下記である。

リフィル処方制度の導入による患者の滞在時間の短縮・経済負担軽減予測
⓵リフィル対象患者は年間で8回の通院回数が減少する。
⓶平均待ち時間+平均診察時間=病院滞在時間は年間で2.7~5.3時間の軽減
⓷診療費3,360円の削減


マイナンバーカード普及率は令和3年11月1日時点で40%となっています。若年層よりも高齢者の普及率が高いため、リフィル処方の運用と電子処方箋の連携により経済的効果と患者・患者家族の負担が軽減される予測が可能です。



一方で、リフィル処方箋が導入されることによって、患者の受診回数が減少する分、医療機関の収入低下が予想されます。またアフターコロナでは患者の病院離れも継続することが予想されます。


令和4年度診療報酬改定の基本的視点と具体的方向性を読み解き、積極的なモデルチェンジをしなければなりません。


#NAOマネジメント株式会社

#診療報酬改定

#リフィル処方



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