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新設された急性期病院B一般入院料

  • 1 日前
  • 読了時間: 6分

― 令和8年度診療報酬改定が示した「病院単位の急性期評価」―



今回の改定の本質は

 「病棟」ではなく「病院」を見ること


 令和8年度診療報酬改定で、急性期入院医療の評価は大きく考え方が変わりました。今回新設された急性期病院A一般入院料・急性期病院B一般入院料はその象徴であり、これまでの急性期一般入院料は、基本的に病棟単位で急性期機能を評価する仕組みでしたが、今回の改定では、地域の中でその病院が実際にどれだけ救急搬送を受け、どれだけ全身麻酔の手術を担っているかという病院全体の機能に着目した評価が新たに導入されました。

 この改定は単なる新点数の追加ではありません。制度として、「急性期らしい患者が入っている病棟」だけを評価するのではなく、「地域で急性期病院として実際に機能している病院」を評価する方向へ踏み込んだものです。急性期病院B一般入院料は、まさにその新しい評価軸の中核に置かれています。





急性期病院B一般入院料はどのような病院を想定しているのか


 急性期病院B一般入院料は、急性期病院A一般入院料ほどの集積性まではないものの、地域で確実に急性期機能を担っている病院を評価するために新設されました。点数は1,643点です。急性期病院A一般入院料が1,930点であるのに対し、Bは10対1看護配置を前提とした評価であり、Aよりは一段階低いものの、従来の10対1の急性期一般入院料とは異なる考え方で位置づけられています。

 制度上、Bは「病院全体で急性期機能を担うが、Aほどの超高集積病院ではない層」を想定しています。つまり、高度急性期の拠点まではいかないものの、地域の救急搬送や手術を現実に支えている病院となります。

 今回の改定でこの層を独立して評価したことには、急性期一般入院料1〜6のように病棟の患者像だけを見るのではなく、その病院が地域でどの程度急性期医療の受け皿になっているかを制度として見るという大きな意味があります。



新設の背景にあるのは「急性期機能の実態」と「地域での役割」


 急性期病院一般入院基本料の新設について、救急搬送受入れや全身麻酔手術等の急性期機能に応じた評価と説明されています。これは裏を返せば、従来の評価体系では、急性期病院として地域に大きな役割を果たしていても、それが必ずしも十分に評価されていなかったという問題意識があったということです。

 特に地方や中規模病院では、7対1病棟ほどの厚い看護配置ではなくても、救急搬送や全身麻酔手術を相当数担っている病院があります。そうした病院を、単に10対1病棟として評価するだけでは、その実態に見合った評価にならない。今回の急性期病院B一般入院料の新設は、そうした現場の実態を反映したものと理解した方が分かりやすいと思います。



施設基準のポイントは「救急搬送」と「急性期の実績」


 急性期病院B一般入院料の考え方を理解するうえで、もっとも重要なのは施設基準です。BはAのように「救急搬送2,000件以上かつ全身麻酔手術1,200件以上」という高集積型ではありませんが、病院全体として一定の急性期実績を持つことが求められます。Bは次のいずれかを満たす病院として示されています。

 ・救急搬送1,500件以上

 ・救急搬送500件以上かつ全身麻酔手術500件以上

 ・人口20万人未満地域の最大救急搬送病院(救急搬送1,000件以上)

 ・離島地域の最大救急搬送病院

 また、施設基準では、救急搬送件数のうち夜間時間帯(22時から翌朝8時まで)に受け入れた救急搬送件数が1割以上であることも示されており、単に件数だけではなく、時間外を含めた実働性も見られていることが分かります。つまり急性期病院B一般入院料は、昼間だけ予定入院を回している病院ではなく、地域の救急を現実に受け止めている病院に向けた入院料として捉えることができます。



看護配置は10対1だが、評価の考え方は従来の10対1とは違う


 急性期病院B一般入院料の看護配置は10対1です。この点だけを見ると、従来の急性期一般入院料4〜6と同じ10対1に見えるかもしれませんが、制度の意味はまったく同じではありません。急性期一般入院料4〜6は、あくまで病棟単位の患者割合や必要度で評価される仕組みですが、一方で急性期病院B一般入院料は、病院全体の急性期機能を前提に、そのうえで10対1の病棟を評価する仕組みです。

 この違いは非常に大きく、同じ10対1であっても、急性期病院B一般入院料は救急・手術実績を持つ病院の10対1病棟として評価されるということです。今回の改定は、看護配置の数字だけで急性期を語る時代ではなくなったことを示しています。



重症度、医療・看護必要度は「割合」から「割合指数」へ変わった


 今回の改定では一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の考え方も見直されました。ここで重要なのは、基準該当患者割合を単純にみるのではなく、該当患者割合に救急搬送応需係数を加えた「割合指数」で評価する考え方に変わったことです。

 急性期病院A・B、急性期一般入院料1、看護・多職種協働加算では、必要度Ⅰで割合①28%・割合②35%、必要度Ⅱで割合①27%・割合②34%という基準が示されています。つまり、形式的な必要度の該当患者割合だけでなく、どれだけ救急搬送を受けているかを指数に反映することで、本当に急性期らしい病院を評価する仕組みへ変えたことがわかります。



「救急搬送応需係数」の導入が意味すること


 この救急搬送応需係数は、病床当たり年間救急搬送受入件数に基づいて係数が算出され、該当患者割合に加算するとされています。これは、手術件数や診療密度だけでなく、地域の救急をどれだけ断らず受けているかを急性期評価の中にきちんと埋め込んだことを意味します。

 急性期病院B一般入院料は、まさにこの考え方と相性のよい入院料と考えられます。「高度急性期ではないが、地域の急性期医療を着実に支えている病院」を評価するには、単純な患者割合や看護配置だけでは不十分で、救急受入実績を見なければならないことを制度化した見直しと言えるでしょう。



看護・多職種協働加算の新設が示す新しい急性期像


 急性期病院B一般入院料でもう一つ外せないのが看護・多職種協働加算2(255点)です。今回の改定では、高齢者等が主に入棟する病棟において、ADLの維持・向上等に係る取組を進めるため、看護職員を含む多職種が協働して専門的な指導や診療の補助を行う体制を評価する加算が新設されました。急性期病院B一般入院料ではこの加算2が1日255点、急性期一般入院料4では加算1が1日277点です。

 ここで重要なのは、急性期病院B一般入院料は救急を受ける病院の評価ですが、同時に、高齢患者のADL維持・向上まで含めた急性期病棟運営が求められているという点です。つまり救急を受けて終わりではなく、その後の早期離床、早期退院、多職種協働を含めて急性期機能とみなす考え方であり、今回の改定で急性期医療の中に「生活機能」の視点が入り込んできたことは、かなり大きな変化です。




急性期病院B一般入院料は

 「地域急性期の本体」を評価する入院料


 今回の急性期病院B一般入院料の新設は、これまでのように病棟単位の患者割合だけで急性期を測るのではなく、救急搬送、全身麻酔手術、夜間受入、必要度、そして多職種協働まで含めて、病院全体として地域急性期を担っているかどうかを見る制度になったという点で、急性期入院医療の評価軸を大きく変えました。

 急性期病院B一般入院料は、高度急性期の最上位病院を評価するAほどではないものの、地域で急性期医療を現実に支えている中核病院にとって、非常に重要な新設入院料です。そして、急性期一般入院料4との関係で見れば、今回の改定は10対1を再編し、“病院単位の急性期機能”を明確に評価する時代に入ったことを示しています。今後この入院料を理解するうえで「この病院は地域の急性期医療を本体として担っているのか」という視点が大切となります。

 
 
 

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