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新着情報

  • 2020年3月4日
  • 読了時間: 3分

予定では明日3月5日に令和2年度の報酬改定についての告示が出ます。繰り返しにはなりますが、救急医療がかなり手厚くなったり、一方で透析などの点数が下がったりはありますが、入院医療に関しては大きな単価の変動はありませんでした。しかしながら適切な運用を追求しなければ利益がかなり厳しくなるでしょう。ある意味収益と利益の違いをきちんと捉えていることが求められます。


つまり今回の改定は「病院の運用の質」が肝になっていると捉えています。前回改定のように一般病床の評価の枠組みが変わるわけではないですが、急性期に求める事や回復期に求める事をより明確にしたと言えます。

 

手前味噌ではありますが、私どもがお手伝いしている病院については、改定があるから新しい取り組みをしなければならない部分は限局的でした。既存の課題に対して継続的に取り組むイメージです。特に毎年経営計画を一緒に作り上げている病院等は増収のシミュレーションが出ています。


では求められる病院運用の質の概要を上げてみたいと思います。


まず純粋なDPC病院は急性期医療(特に手術と救急受入)に注力する必要があり、幅広い在宅復帰対象へのフローを細かく作ることが重要です。地域密着急性期と異なる点は、患者さんが何かしらの医療的な要求事項が高めの状況で退院を迫られるところです。循環器などの一定の回復レベルまでに日数がかかる疾患群においては、院外の地域包括ケア病棟や中小規模の一般病床病院を巻き込んだ退院フローがより必要です。


地域密着急性期においては、一般病床と回復期の病床バランスも検討し続ける必要があります。ついつい在宅への退院フローを重視しがちですが、利益と稼働率との結びつきを考えると急性期病院との病病連携も重要です。このあたりは自院の役割を内部・外部的に明確にし、連携する急性期病院ごとに伝え方を変えると良いです。また外来も含めて待ちの医療ではなく、こちらから患者さんのもとへ向かう医療サービスが重要です。できることは往診や訪問診療だけではありません。ある意味DPCの病院と言えども介護保険制度の知識なしではもう運用できないと個人的には考えています。なので最近は病院における介護事業の立ち上げ支援も非常に多くなってきています。


長くなってしまいましたが、こうしてみるとケアミックスの病院の舵取りは非常に考えなければならない要素が多く、地域差や個性も重視しなければならないですね。お手伝いをしていても取り組み方法がそれぞれあり、前向きになれる取り組みが回り始めるときはとても嬉しく思います。



  • 2020年3月3日
  • 読了時間: 3分

 何かの歌のようになってしまいました。診療報酬改定のお話です。 


 予定では明後日3月5日に令和2年度の診療報酬改定告示がでます。皆様の病院では今回の改定をどのように捉えているでしょうか。点数的には大きな変動はなくマイナーチェンジ的に捉えられるお話もよく聞きますが、本当にそうでしょうか。


 ぱっと見の基準上はマイナーチェンジかもしれませんが、病院の在り方や病床運用の考え方の大きな転換となりうる内容も、実はいくつか含まれています。

 一例として一般急性期を軸にした論点を見てみます。キーワードは「看護必要度とベッド単価とDPC」です。


看護必要度について

 中医協の議論の流れの通り、入院医療における重症度をより適切に評価するために、項目の入れ替えおよびハードルの変更(急性期一般1の場合はⅠで31%)が行われました。そもそもこれは7:1の絞り込みという意味合いもあります。また看護必要度Ⅱの導入については今のところ次回改定までの経過措置となっています。

 

ベッド単価とDPC

 DPC病院の運用方法である一般病床から地域包括ケア病棟への転棟についても取り扱いが大きく変わりました。特に400床以上の病院では患者フローの上流にある病院としての役割を自覚した運用が強く求められます(6割要件)。

 もう一点大きな基準の変更が「同一保険医療機関内の地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟に転棟した場合については、診断群分類点数表に定められた入院日Ⅱまでの間診断群分類点数表に従って診療報酬を算定する」です。

 この算定基準の変更は、ベッド単価を基準にしたよくある「ベッドコントロールを2SD基準に」という価値観は当てはまらなくなります。そもそも急性期を標榜しているのであれば2SD基準ではなく、効率性係数の向上を踏まえたベッドコントロール基準を設けることを強くお勧めしています。

 上記によって転棟の基準を「ベッド単価ではなく看護必要度を軸にする」必要があることとなります。その対応のために入院決定や転棟決定フローチャートの更新を一緒に検討したりもしています。また入退院支援部門の積極的な関与と権限強化などやれることはたっくさんあります。ただし、効率性係数と複雑性係数に着目して運用している急性期病院においては、今まで通りの運用と考え方は大きく変わらないのではないかと考えております(検証中ですが・・・)。 


 今回の改定は個人的には前回改定の背中押し改定であると思っています。ケアミックスDPC病院などは、看護必要度をよく見ながら一般病床と回復期の病床数バランスを見直さなけらばならないと思います。これは決してマイナスや病院規模縮小ではなく、あくまで積極的なモデルチェンジと捉えるべきです。

 

 なんども記事には上げていますが、医療機関として求められる役割を追求とそれに応えることが第一であり、急性期にしがみつくことではありません。厳しい書き方になりますが、無理をしてまで急性期に残ろうとすると、収入額の維持が難しいだけではなく、収益性はさらに低下します。健全かつ継続性のある病院経営のためには、求められていることにを正しく認識し、その領域に全力を尽くすことであると考えます。


 4月15日まであまり時間はありません。今一度自院の検証作業と経営計画の磨き上げをおすすめします。 





 








  • 2020年1月17日
  • 読了時間: 2分

 12月の末ごろに具体案が集まり始めた看護必要度の論点が、シミュレーションを経て、着地点の案が議論されました。少々驚きの数字ですが、支払側は「看護必要度Ⅰが35%以上」「看護必要度Ⅱが34%以上」を求めるというものでした。

 

 前回改定では厚労省が②B14・B15含めてA1点B3点の基準が加わった際にシミュレーションをし、下位25%タイルを基準として急性期一般入院基本料1において「看護必要度Ⅰ30%以上」「看護必要度Ⅱ25%」という基準を設定した経緯があります。

 それを踏まえた私見ですが、今回のシミュレーション結果に当てはめると新基準は「看護必要度Ⅰ31%以上」「看護必要度Ⅱ27~30%以上」を基準に落ち着くのではなかろうかと思います。

 看護必要度Ⅱに関しては、先行して届出されていると思われる200病院を抽出してシミュレーションをされているようなので、ベースの値が高いのではないかとも思われます。ですから30%よりも低い値での基準値が看護必要度Ⅱへの移行を進める視点からも適正とされるのではないかと思います。


 いずれにせよ②の基準が削れることによる重傷者割合の低下と、A項目C項目の組み換えによる上昇という相反する要素が同時に新基準として提示される可能性があるため、H30年改定後のデータから、新基準(案)での自院の看護必要度を把握し、部署間で共有しておく必要があります。


 基本的に看護必要度を上げるための取組は①カウント漏れを無くす(精度向上)②病床再編やモデルチェンジなどが正攻法となります。①の取組での上り幅のみを期待することは、今までの政策動向を鑑みると、短期的な止血対応で終わってしまいます。ですから長期的な対応策として②の視点を平行して持ち、検討を進める必要があるでしょう。

 まずはその地域・病院にとって各病棟単位に何が望まれるかを冷静に評価することが、10年20年以上の長期的な病院運営において何より重要です。この論点がぶれなければ、綿密な制度対応をすることによって病院経営は継続的な黒字が維持できるように設計されています。看護必要度は評価方法の1部分ではありますが、患者構成を知る重要な指標となります。今回の議論で一つの基準が提案されましたので、1月中に自院でのシミュレーションをしてみてはどうでしょうか。









 

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