top of page

新着情報

財政制度等審議会が11月1日に開かれた部分で、表題のようなお話が出てまいりました。財務省では、診療報酬全体を1%引き下げると、患者負担も含めて年間約5,000億円の削減になるとしています。


 令和元年9月26日の厚労省からの発表によると、平成29年度の国民医療費全体は43兆0710億円となっており、そのうち入院医療は37.6%の16兆2116億円にのぼります。


 実は前回の改定でも財政制度等審議会は全体で-2.5%程度のマイナス改定が求められていました。しかしながら結果は0.55%のプラス。これは薬価制度の抜本的な改革で-1.65%もの大きな財源が出来たからと言われます。


 では今回の改定はどうでしょうか。最近の改定では薬価関連を下げて、それを財源に医科歯科に手当をしていますが、今のところその姿勢は変わらないように見えます。


 薬局において調剤料と調剤基本料の厳格化についてかなり踏み込まれた話が出てきていますので、統廃合の動きが激しくなると予想されます。


 病院においては前回改定で看護必要度の要件が、ある意味緩まった内容ではありました。結果として7対1の病床数は数%の減少と、政策の流れとは違った姿をここ1年半で見せています。中医協の議論や報告書で、7対1から移らなかった理由や、看護必要度の内訳など細かいデータが机上に挙がっているところから見ると、急性期一般入院基本料1の要件である看護必要度Ⅰ該当割合30%から35%などに厳格化されることも十分予想されます。


 いずれにせよ看護配置のみで報酬が決まる時代はそう長くはないと予想されます。自院の患者層や診療密度を俯瞰し、現状どのような役割を果たしているかを冷静に捉える必要があるでしょう。その上で5年後、10年後存続できるビジョンを立てる必要がある時期と考えます。

 

 ダウンスケールではなくてモデルチェンジが必要な地域密着型急性期病院は多くあると思います。診療報酬改定ではさまざまなデータが提示されます。うまく利用して、地域に必要とされ続ける病院作りに役立てるべきと思います。



  


 

 11月1日に開かれた財政制度等審議会において、財務省は2020年の診療報酬改定ではマイナス改定を求めました。根拠として、近年の改定率が賃金や物価の推移と比べて高水準であることとしています。またこの改定率に関しては、病院と診療所に差をつけることも求めています。


 ここに関してはいろいろ反論は出ていますが、現場の人間としては求められる方向を認識することが重要であると考えます。診療報酬改定の細かい施設基準を知り、病床再編などを行い、結果として取りこぼしがないようにすることも確かに重要です。ただしこれは短期的な血止めであり、将来的な安定運営につながるかというと、必ずしもそうではありません。



 では診療報酬改定の推移をみながら何を一番にするべきか?を考えてみましょう。 



 何度か記事で挙げてはいますが、まずは病院としての事業計画を磨き上げることです。診療報酬上の落穂拾いなどは次のステップと言ってよいでしょう。点数よりも「なぜその基準が出来て何のためにその要求事項があるのか」「昨今の改定と比較してどのような政策の流れか」などを掴むことが重要であると言えます。


 病院特有の事業計画の策定方法は様々ノウハウと特性考慮が必要です。このあたりについては個別性が強いので記事にするには難しいですが、関与した病院様では事業計画の策定・検討がしっかり定着すると、継続的な収支改善につながっています。


 

 



 平成30年改定において、経過措置まで含めると療養病床の区分は4類型となりました。医療法と診療報酬の人員配置基準のすり合わせが進み、20対1以外は明確な減算となっています。また再編先として介護医療院が制度化されたのは記憶に新しいところです。  では平成30年の改定から約1年半。経過措置対象病院の動きを確認してみましょう。


 平成30年改定前の時点で、療養病棟入院基本料2(25対1で現在は経過措置に該当する基準です)の移行先は、療養病棟入院料1にアップグレードした病棟が24%。介護医療院への移行はわずか2.9%。旧30対1においては入院料1が12.2%、入院料2が9.8%。そして介護医療院への移行は0%となりました。


 これらの数字からいえることは、介護医療院への移行はほぼほぼされていない状況があり、療養病床の中間層は政策意図に比べかなり動きがなかった1年半とも言えます。  特に介護医療院については、市町村の財源を圧迫するので、自治体側がかなり消極的だったことも事実です。しかしながら、ここまで移行がなされていないと、経過措置を次回改定で廃止することは難しいのではないかと考えます。


 上記の数字を受けて、10月18日の中医協でも経過措置の廃止は困難かもしれないとの声は上がっています。ただし経過措置はこのまま継続される訳ではなく、経過措置の基準の厳格化は検討しなければならない論調ではあります。減算の幅が大きくなることも考えられますし、経過措置にも医療区分の下限が定められることも考えられます。いずれにせよ経過措置を算定している病院には、さらに経営が苦しくなる状況とも言えます。


 正直なところ、私が支援している療養病床の経営状況は2極化していますし、経営状況の良い病院でも療養病床そのもののベッド単価が高くないので、建替えなどの大規模投資になった際に、かなり厳しい事業計画を作成することになっています。


 このような状況下で、これから先の療養病床の在り方を考える際には、病院単体での経営・運営だけでは不十分であるように感じます。ある意味では現在の医療・介護のハブとなるような意識が必要なのかもしれません。本来は地域包括ケア病床が担うべきなのでしょうが、60日という在院日数の縛りがありますし、循環器などの疾患群によっては、一律な在院日数の評価ではなかなか苦しい領域もあります。療養というと総合力が求められる領域ではありますが、きちんとした事業マップを作成・更新を続け、療養の中でもどこに注力するかがカギとなります。 


 やはり、きちんとした現状把握・計画策定・周知と実行・そして評価・・・が肝要であると考えます。

bottom of page